デジタルピアノブランドPriviaの最新モデル
デジタルピアノPriviaの
プロダクトデザイン
日々、開発の流れを交えて担当デザイナー本人の視点から語ります。
今回はデジタルピアノブランドPriviaの最新モデル
「Privia PX-S1000」のデザイン開発ストーリーをご紹介します。
現代のライフスタイルに合ったピアノを
Priviaは「自分で楽しむためのピアノ」がコンセプトのピアノブランドです。
ブランド誕生当時から「自宅で気軽に演奏を楽しみたい」という想いに、コンパクトでスタイリッシュなデザインで応えてきました。
しかし、国内外のお客さまへの調査の結果、まだまだサイズへの不満が多いことや、スマートデバイスで音楽を楽しむなどのライフスタイルの変化にも対応できていない事がわかりました。そこで、現代のライフスタイルに合った世界最小のピアノを作るべく企画が立ち上がり、次世代のPriviaのあるべき姿を目指して、デザインの検討を始めました。
生活空間との調和を目指した
コンセプトモデル
デザインを進めていく中で、ミラノサローネなどの海外の展示会を視察した時に感じていた「家電の家具化」にインスピレーションを得て「SMART MUSIC FURNITURE」というデザインコンセプトを打ち立てました。
家具のデザインテイストを取り入れる事でより生活空間に溶け込み、演奏していない時もスピーカーとして使える、現代のライフスタイルに合ったコンセプトモデルを作成。社内でプレゼンテーションを実施し、高い評価を得るも、カシオらしさがあるのか?など様々な課題も見えてきました。
そこで、生活空間に調和しながらも、カシオらしい先進性を表現出来るデザインへ方向転換しました。
先進性と軽やかさを表現したデザイン
フラグシップモデルであるPX-S7000の世界観は、今までのピアノが持つイメージとは異なります。
「ピアノは壁際に置かれている、重くて黒くて大きい楽器」という伝統的な従来のピアノのイメージから脱却するには、思い切った刷新が必要でした。 「昔ピアノを弾いていたけれど、いろいろな理由でピアノから離れてしまった」という大人に、もう一度ピアノを弾く楽しみを味わい、音のある生活を感じてもらいたい。
そんな思いから生まれたPX-S7000の魅力を、ユーザーまで最大限に伝えるための世界観を考えました。
生活空間との調和を追い求めた結果、どんな空間にも馴染む、無駄なものを削ぎ落としたミニマルな表現に行き着きました。
楔形の本体が浮遊しているようなデザインで、コンパクトさと軽やかさを強調。
また、全面タッチパネルで先進性を演出すると共に、演奏中は無駄な表記が消える事で鍵盤を際立たせ、演奏に集中出来るスタイルを実現しました。
大人が趣味で弾くピアノに
ふさわしい仕上がり
現代のライフスタイルに合ったプライベートピアノを追求した今回のデザイン。
お客さまの求めていることとはなにか?カシオらしさとはなにか?を吟味しながら試行錯誤を繰り返しました。
その結果、今のライフスタイルに合致する、大人が趣味で弾くのにふさわしいデザインとなり、ほかの楽器メーカーにはない、「カシオらしいピアノの本質表現」に繋がりました。
自分の携わったデザインに反響があると嬉しいものです。
海外出張中に外国人スタッフから「デザインに感動した。この感動は絶対にお客様に届けたい」
と熱い想いを伝えられた時や、お客さまからの「デザインが好きで買った」
と言ってもらえた時はこのモデルを担当できて本当に良かったと心から思いました。
これからも世界中のお客さまに感動を届けられるデザインを生み出していけるよう頑張っていきたいと思います。
可視化された音の流れが、
プレイヤーの感性を刺激する
CASIO独自のHorizontal Bass-Reflex System(*1)によって実現した、高音質でありながらコンパクトなボディという
「CT-S1000V」の特徴。
これをデザインで表現するという課題もまた、難関のひとつでした。
そこで着目したのが、パンチングネット部分です。
プレイヤーが調整しながら生み出した音源が、アンプからスピーカーに送られ、音として流れる動きを、造形によって視覚的に再現。
さらに所有欲を刺激するため、パンチングネット越しに配置された大胆なCasiotoneのロゴや、緻密な立体造形にもこだわり、デザインが完成しました。