プロダクトの領域を超えて、バーチャル空間で耐衝撃性能を表現した
VIRTUAL G-SHOCK
プロダクトデザイナーとしての新たなチャレンジ!
現実世界の束縛から解放された時、一体なにが生まれるのか!?
G-SHOCKをバーチャル空間で表現する。その全く新しい試みが始まったとき、若いデザイナーたちは何を頭に描いたのか。
未だかつてない2つのG-SHOCKデザインを生み出したアユミさんとレイさんに開発背景を語っていただきました。
左:VGA-001 右:VGA-002
アユミさん
入社3年目
VGA-001のデザインを担当。
レイさん
入社8年目
VGA-002のデザインを担当。
若手デザイナーの熱い想いが会社を動かした。
今の若い人たちにとって、G-SHOCKはカジュアルなファッションウォッチとして認識され、耐衝撃性能がきちんと伝わっていないのでは? という課題が若手デザイナーの中で上がっていました。もっと若い層にアプローチしていきたいという想いから、まずは動画やSNSなどの検討がボトムアップで始まり、その過程から生まれたのが、「VIRTUAL G-SHOCK」でした。
プロダクト化せずにデジタル上で完結させるのはG-SHOCKでも初の試みでしたが、会社からは意外にもすんなり受け入れられ、まずは社内向けのプレゼンという形でふたつのG-SHOCKの動画を製作することになりました。
和気あいあいとディスカッションを重ねている風景は、部内でも楽しそうなことやってるねと話題になり、自由にデザインをつくっていく楽しさはありました。
バーチャルゆえの難しさ。若手の自由な発想で超えた壁。
私はプロダクトとバーチャルの間に大きな違いは感じず、むしろ自分の好きなものを作れるな、という感覚でした。
ただしG-SHOCKらしさとして、耐衝撃性能は絶対に踏まえないといけない。物理的制約のない世界で耐衝撃性能をどれだけ面白く見せられるかという挑戦の中で、柔らかなバルーンというデザインコンセプトが生まれました。あえてそのモチーフを生々しく入れたのは、説明不要で感じてもらうことを大切にしたから。それは最初から最後まで一貫していました。
逆に僕は、時計デザインの構造的な美学を叩き込まれてきましたから、耐衝撃性能をイメージしたバネの構造を生々しくデザインに取り入れるのも難しかった。ついテクニックでG-SHOCKっぽい造形にまとめてしまう中、アユミさんは自由で一向にG-SHOCKっぽくまとめてこない。それが新しかったですね。最後までこれでいいのか?と思い悩みながら、動画で動かしてはじめて、正解が見えた気がしました。
学生時代の学びが生きる。バーチャル上の耐衝撃性能を動画で表現。
私は今回、業務用のCADではなく一般的な3Dソフトを使いました。学生時代そのソフトを使って有機的なバイクをデザインした経験があり、やわらかなバルーンの細かいディテールを表現するのに役立ちました。
僕も学生時代はプロダクトデザインを専攻していましたが、それとは別で「Cinema4D」を使って動画制作をしていた経験が生きましたね。今回の動画は主に僕が担当していて、最終的には他の3Dソフトも使いましたが3Dソフトは似ている部分も多く、スムーズに作業ができました。通常のデザイン業務と並行しての作業は大変でしたが、刺激的でもありました。
社内先行プレゼンテーション会議で発表したバーチャル上のG-SHOCK提案は、並行して開発が行なわれていたバーチャルGプロジェクトのメンバーの目に留まり、共同開発した後『VIRTUAL G-SHOCK NFT』として販売されました。
チャレンジしていく姿勢こそがG-SHOCKの魅力でもありますが、
「VIRTUAL G-SHOCK」はデザイナー自身のチャレンジでもあった。
しかしその経験が、また新しいG-SHOCKの世界をつくっていくのでしょう。
可視化された音の流れが、
プレイヤーの感性を刺激する
CASIO独自のHorizontal Bass-Reflex System(*1)によって実現した、高音質でありながらコンパクトなボディという
「CT-S1000V」の特徴。
これをデザインで表現するという課題もまた、難関のひとつでした。
そこで着目したのが、パンチングネット部分です。
プレイヤーが調整しながら生み出した音源が、アンプからスピーカーに送られ、音として流れる動きを、造形によって視覚的に再現。
さらに所有欲を刺激するため、パンチングネット越しに配置された大胆なCasiotoneのロゴや、緻密な立体造形にもこだわり、デザインが完成しました。