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キャリア採用デザイナーの挑戦

G-SHOCK STREET SPIRITシリーズ

日々、私たちが生み出しているデザインを、
開発の流れを交えて担当デザイナー本人の視点から語ります。
今回はアパレル出身のキャリア採用デザイナー・シュウさんが、
カシオでの初仕事となった「G-SHOCK STREET SPIRIT」シリーズの開発ストーリーをご紹介します。

入社後いきなり
ビッグプロジェクトを担当

アパレル業界でデザイナーとしてのキャリアを重ねてゆく中で、次のステージに進みたくなった時期に、縁あってカシオに転職しました。入社後いきなりのビッグプロジェクトでしたが、私はG-SHOCKに足りない部分を補うために採用されたと思っているので、これまでとは違った形でデザインしていくことを意識しました。具体的には、プロダクト目線ではなくカルチャー寄りのデザインをG-SHOCKに取り入れたい、という視点です。G-SHOCKのデザイン戦略の中で、形状としてのデザインだけではなく、CMFを中心にしたグラフィック要素もとても重要です。ウォッチは人が身に着けて完成するもの。その人をどう彩るかは僕が長年アパレル業界で考えてきたことでしたから、その知識や経験が必要とされていると考えました。

G-SHOCKに
グラフィティアートを施すということ

「G-SHOCK STREET SPIRIT」シリーズは、企画部門からの「40周年を前に、G-SHOCKの歴史をCMFによって表現したい」というテーマに対して、グラフィティアートが経てきた時の流れをG-SHOCKに重ね合わせたもの。

時代に合わせて5つのG-SHOCKを選び、その時代に流行したグラフィティアートを自分で描きました。しかしこういったデザイン表現はカシオでは初めてのことなので、ストリートカルチャーやグラフィックに関する資料を自作し、企画サイドに説明しました。偶然にも企画担当者もストリートカルチャーが好きだったので、細かいところまで共感できました。デザイン開発を通じて、カシオには積極的に新しいことにチャレンジできるし、きちんと話を聞こうという空気があることを実感しました。

創造性の限界を作らない技術

創造性の限界を作らない技術

「G-SHOCK STREET SPIRIT」はグラフィティパターンを直接ウォッチに印刷するのですが、この工程で立ち止まることはありませんでした。複雑な立体面への転写や剥離しない印刷強度など、クリアすべき問題は多いのですが、グラデーションも綺麗に出せましたし、新しい印刷技法を試したり、ベースの樹脂の色を変えることで輝度を上げたりと、様々な方法にトライすることもできました。こういった技術は長年社内で蓄積してきたものなので、そういう意味では表現の限界はほとんどないのかもしれません。さらに今回はパッケージまでデザインさせてもらいました。従来はプロダクトデザイナーがパッケージまで手掛けることは稀だったようですが、今回の取り組みは特別だったので、どうしても自分で全部やりたかったのです。

フラグシップモデルであるPX-S7000の世界観は、今までのピアノが持つイメージとは異なります。

「ピアノは壁際に置かれている、重くて黒くて大きい楽器」という伝統的な従来のピアノのイメージから脱却するには、思い切った刷新が必要でした。 「昔ピアノを弾いていたけれど、いろいろな理由でピアノから離れてしまった」という大人に、もう一度ピアノを弾く楽しみを味わい、音のある生活を感じてもらいたい。

そんな思いから生まれたPX-S7000の魅力を、ユーザーまで最大限に伝えるための世界観を考えました。

時間の流れに耐えうるデザインとは

アパレル/ファッションと比べると、ウォッチは開発のために費やす時間がかなり長い。そのため、その先のトレンドまでしっかり情報を入れながら組み立てていく作業が重要になりますし、トレンドから離れないようにしっかり見極めることが私にとって大切な課題になっています。インターネットだけでは見えてこない流れを肌で感じるために、街に出て若い子たちのファッションの変化などをリサーチしています。前職ではまさに街で起こっていることをキャッチしてデザインをしていたので、その経験が生きていますし、逆にそういった経験を生かすことで新しいG-SHOCKのデザインを作っていきたいと思っています。

「G-SHOCK」の世界を拡張する

G-SHOCKは世界的なブランドであり、ユーザーの中にイメージが出来上がっているからこそ、枠を外れないといけない時もあるでしょう。たとえ定番モデルであっても、サイズ感やカラー、素材など微妙な違いを作るだけで雰囲気が変わるので、まだまだデザインでできることはたくさんあると思います。そこにカルチャーというもう一つの軸を加えることが私の役割だと感じていますし、そうすることによってG-SHOCKの新しい側面に光が当てられるはずです。G-SHOCKはこれからもずっと成長してゆくプロダクトであり、そこに関われるのは非常に面白い経験だと感じています。

カシオデザイナーのキャリア採用というと、どうしてもメーカーのプロダクトデザインの経験者中心想像する方が多いと思います。しかし一方では、アパレルなど異分野で活躍していたデザイナーを採用したいという意識も高まり実際にも増えてきています。

今回の事例であるG-SHOCKデザインは、これまで機能を中心とした技術視点が主流でデザインを構てきましたが、近年はカルチャー視点やトレンド視点での新しい展開も多くなってきています。
シュウさんがカシオに持ち込んだ異分野のデザイン論や仕事の進め方が、社内によい刺激を与えて「G-SHOCK STREET SPIRIT」のような斬新なスタイルが生まれたのではないかと思います。

 

可視化された音の流れが、
プレイヤーの感性を刺激する

CASIO独自のHorizontal Bass-Reflex System(*1)によって実現した、高音質でありながらコンパクトなボディという
「CT-S1000V」の特徴。

これをデザインで表現するという課題もまた、難関のひとつでした。

そこで着目したのが、パンチングネット部分です。

プレイヤーが調整しながら生み出した音源が、アンプからスピーカーに送られ、音として流れる動きを、造形によって視覚的に再現。

さらに所有欲を刺激するため、パンチングネット越しに配置された大胆なCasiotoneのロゴや、緻密な立体造形にもこだわり、デザインが完成しました。

 

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