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stories vol.23 | CASIO

歌う電子キーボード「CASIOTONE CT-S1000V」に込められた

五感を揺さぶるプロダクトデザイン

五感を揺さぶる
       プロダクトデザイン

五感を揺さぶる
プロダクトデザイン

今回ご紹介するのは「CASIO TONE CTS-1000V」。
新たな鍵盤演奏や楽曲制作に挑戦するすべての音楽クリエイターのための、
新時代を切り開く電子キーボードのデザインの裏側には、一体なにがあったのか――

今回ご紹介するのは「CASIO TONE CTS-1000V」。
新たな鍵盤演奏や楽曲制作に挑戦するすべての音楽クリエイターのための、新時代を切り開く電子キーボードのデザインの裏側には、一体なにがあったのか――

今回ご紹介するのは「CASIO TONE CTS-1000V」。
新たな鍵盤演奏や楽曲制作に挑戦するすべての音楽クリエイターのための、
新時代を切り開く電子キーボードのデザインの裏側には、一体なにがあったのか――

五感を揺さぶる
プロダクトデザイン

それは「歌声」を
自在に操る、
新しい楽器

楽器を奏でるように、声を奏でられたら――。

搭載された音色のひとつとして「声」を選び、キーボードで歌を奏でる。
歌声を自在に操る「CT-S1000V」の開発は、「楽器で歌声を操れる時代を、CASIOが切り開きたい」というコンセプトのもと、商品企画者の熱い想いから始まりました。
 

さらに、パソコンなどで事前に歌詞を打ち込む必要はなく、専用アプリを使ってフレーズを転送するだけで、簡単に演奏できるのです。

手軽にキーボードを演奏して歌を操る、新時代の楽器。

今までにないコンセプトのデザインに関わる――それは、デザイナーとして、感性や好奇心を強く揺さぶられる喜びでした。

 

  • ※1:名古屋工業大学を中心とした研究をベースにしています

さらに、パソコンなどで事前に歌詞を打ち込む必要はなく、専用アプリを使ってフレーズを転送するだけで、簡単に演奏できるのです。

手軽にキーボードを演奏して歌を操る、新時代の楽器。

今までにないコンセプトのデザインに関わる――それは、デザイナーとして、感性や好奇心を強く揺さぶられる喜びでした。

※1:名古屋工業大学を中心とした研究をベースにしています

どんなユーザーが
歌声を響かせるのか

「CT-S1000V」は、開発当初「声を奏でる」という技術が先行し、明確にターゲットとなるユーザーが決まっていませんでした。

ターゲットが定まらない状態では、デザインには進めません。

この新しい楽器を手にしてくれるのは誰だろう。

音楽制作における環境の変化や、アーティストやミュージシャンが求めるツールについて、デザイナーも企画者やエンジニアと共に、何度も議論を重ねました。 

今や、パソコンやタブレットひとつで音楽を作れる時代。特別な機材を持っていない人が、自分の部屋でクオリティの高い楽曲を生み出し、有名な有名なアーティストとして注目を集めています。

「CT-S1000Vは、次世代のクリエイターたちをターゲットユーザーに設定しよう」――「ベッドルームミュージシャン」と呼ばれる、プロアマの垣根を越えて活躍するクリエイターをターゲットに定め、デザイン開発の方向性が決まりました。

ユーザーに響く楽器を生み出すためのデザイン課題は二つ。

直感的に操作できるユーザビリティと、新時代の楽器の個性を表現し、所有欲を満たすこと。

この二つの課題の実現を目指し、キーボードの開発と併走して、急ピッチでデザイン開発が始まりました。

プレイヤー視点から導き出したデザインの基本骨格とグリッドデザイン

鍵盤で意のままに音声を操るためには、操作部表示の視認性や、操作しやすいキー配列が重要なポイントです。楽器としての使いやすさがなければ、デザイナーのエゴでしかありません。

最適なデザインとはなんなのか。デザインの骨格を決めるため、仕様書を片手に、操作部全体の適切な角度検証からスタートしました。

操作手順が理解できれば、ボタンやノブ、機能印刷のレイアウトなど、自然に正解が見えてきます。

そこで両手の移動範囲を元に、一連の演奏の中で関連するキーやノブをグルーピング・レイアウトしていった結果、操作性を向上させる「グリッドデザイン」を採用したのです。

操作性を意識してボタンの数を抑えながら、演奏時のパフォーマンスを演出する格好良さを損なわないデザインを探り、決定していきました。

グラフィックデザインと、
指先から響く音の操作感へのこだわり

グラフィックデザインで重視したのは、70・80年代のシンセサイザーやボコーダーのようなレトロポップな色使いやフォントです。

Z世代に響くデザインを吟味しながら配色する中で、アクセントカラーであるメタリックレッドには特にこだわっています。

クリエイターにとって、機材は自分を演出するためのツールの一つです。パフォーマンス中の高揚感と、楽器として長く愛着を持って使えるガジェットデザインの折り合いを追求し、彩度や粒子の輝度を徹底して調整しました。

こだわりは、ビジュアルデザインだけではありません。パフォーマンスへの没入感を五感で味わう感性品質もまた、デザインの重要な要素です。

ノブのつまみやすさや、ダイヤルを回すトルク感の変化など、演奏を邪魔せず、気分をより高める操作感を意識。指先から全身に響く音のイメージを追求しました。

可視化された音の流れが、
プレイヤーの感性を刺激する

CASIO独自のHorizontal Bass-Reflex System(*1)によって実現した、高音質でありながらコンパクトなボディという
「CT-S1000V」の特徴。

これをデザインで表現するという課題もまた、難関のひとつでした。

そこで着目したのが、パンチングネット部分です。

プレイヤーが調整しながら生み出した音源が、アンプからスピーカーに送られ、音として流れる動きを、造形によって視覚的に再現。

さらに所有欲を刺激するため、パンチングネット越しに配置された大胆なCasiotoneのロゴや、緻密な立体造形にもこだわり、デザインが完成しました。

 

  • *1: 水平型バスレフスピーカーシステム:スリムなボディでパワフルな低音を生み出すために開発された省スペースのバスレフ機構

歌声を奏でる新しいコンセプトとレトロポップなデザインの融合。

完成した「CT-S1000V」は、発売直後からYoutubeなどで多くの演奏動画がアップされ、北米最大の楽器の祭典「NAMMショー」の展示でも大きな注目を集めました。

様々な演奏シーンで「今までなかった楽器!」「面白い!」と高く評価されています。

私たちは、80年代に Casiotone「MT-40」のスレンテンパターン(*2)がプロのミュージシャンに認められ、数々のレゲエの名曲を生み出したように、

最新のヒットサウンドがこの「CT-S1000V」から生まれる日が来ることを願っています。

 

  • *2: スレンテンパターン:カシオ独自のレゲエ向けリズムパターン

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