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stories vol.16 | CASIO

新たなスタンダードを目指して

キーボードの新しい姿 「CT-S1」

新たなスタンダードを目指して

キーボードの新しい姿 「CT-S1」

デザインの裏側にある、知られざる製作ストーリー。

担当デザイナーのリアルな視点から、

開発のコンセプトや流れの中で重ねられた試行錯誤と、

デザインに込められた物語や思いを語ります。

今回紹介するのはライフスタイルを意識した「CT-S1」。
従来のラインナップに縛られない新たなキーボードのデザイン開発にまつわる製作秘話とは。

今回紹介するのはライフスタイルを意識した「CT-S1」
従来のラインナップに縛られない新たなキーボードの
デザイン開発にまつわる製作秘話とは。

新たなスタンダードキーボードを目指して

これまでのカシオのキーボードは「熟練者は高性能モデル」「初心者はエントリーモデル」というように、スキルに合わせたデザインと機能を持つラインナップとなっていました。そのため、ユーザーからみると「高性能で高音質ながらも、見た目はシンプルで生活に調和するキーボード」という選択肢がありませんでした。そこで、スキルにとらわれない新たなスタンダードを目指して開発を始めたのがCT-S1です。

どんなライフスタイルにも馴染み、誰もが弾く楽しさを感じられるようにと、思いを込めてデザインしました。

誰もが気軽に音楽を楽しむためには?

誰もが気軽に音楽を楽しむためには、これまでの電子楽器に見られるメカニカルで難しい印象を取り除く必要があると思いました。

誰もが気軽に音楽を楽しむためには、これまでの電子楽器に見られるメカニカルで難しい印象を取り除く必要があると思いました。

代わりに、使い方に迷わないシンプルな操作性と、生活空間に自然と溶け込むミニマルなデザインが必要だと考え、操作エリアのデザインパターンをいくつも考えていきました。そしてデザインの方向性をひとつに絞り込むために、社内アンケートや演奏経験者にヒアリングを行うなど、誰もが気軽に操作できるUIの実現を目指して検討を重ねました。

カスタマイズ可能なウォッチフェイスの組み合わせは、数百通りにも及びます。

3分割したフェイスをユーザーが自由に組み合わせられる構造になっている「GSW-H1000」のウォッチフェイスを、どの組み合わせでも、常に「G-SHOCK」にするため、細部にいたる全てのパーツのデザインにこだわりました。

そこで今までの「G-SHOCK」に使用してきたフォントをベースに、ブラッシュアップしたオリジナルフォントを作成。

アイコンに使用するピクトグラムも、直線の組み合わせやどっしりとしたバランスの「G-SHOCKらしさ」に至るまで、何十回も描き直しを重ねました。

さらに、どの様な組み合わせでもバランスよく見せるため、トライアンドエラーを繰り返し、今までの「G-SHOCK」とその先の姿に辿り着きました。

ユーザーに響く楽器を生み出すためのデザイン課題は二つ。

直感的に操作できるユーザビリティと、新時代の楽器の個性を表現し、所有欲を満たすこと。

この二つの課題の実現を目指し、キーボードの開発と併走して、急ピッチでデザイン開発が始まりました。

オリジナルフォントやピクトグラムに宿る「G-SHOCK」の魂

シンプルでミニマルな工夫

シンプルでミニマルな工夫

演奏に集中できるように、キーボードにとって必要な鍵盤とボタン以外の要素は、できる限り存在感を抑えました。メーカーロゴやブランドロゴですら演奏中のノイズと捉え、通常は印刷にして目立たせるところをあえて彫刻文字にしています。「売り方に関わるし、この提案はさすがに通らないだろうな」と思っていましたが、ミニマルデザインのコンセプトに共感してもらうことができ、社内関係者の同意も得て彫刻文字が採用となりました。一方で鍵盤根元のケースには鍵盤からスピーカーに伝わる音の波形をイメージした形状をあしらったり、彫刻文字は通常の3倍の深さにしてモノブロック感を強調したりと、ミニマルな造形の中で、楽器ならではのエモーショナルな価値も大切にしたいと思ってデザインしました。

一から開発した混色スピーカーネット

S1の最大の特徴となる混色クロス素材を用いた長尺のスピーカーネット。糸の染色から関わったカシオオリジナルの生地です。

製品面積の3割を占める継ぎ目のないこの部品は、製品全体の印象を大きく左右する最も重要な要素で、仕上げるのに最も苦労しました。まず音抜け試験をクリアし、プラスチックや他素材との相性を見極めながらベストな生地を選んでいます。次に色なのですが・・・色味がなかなか意図通りに仕上がりません。いつもなら海外の工場に出張して現地で色の確認や調整を行いますが、新型コロナウイルスの影響で叶わず、工場からサンプルを輸送してもらって確認、再調色依頼の繰り返し。後半は調整が間に合うのか心配で心配で・・・結果たくさんの方々のご協力で生地は仕上がり、様々なインテリアに馴染むデザインに仕上げることができたと思います。

生活空間と調和する新しいカラーリング

生活空間と調和する
新しいカラーリング

最初は黒1色の企画でした。しかし、企画内容と何度も向き合う中で、「キーボードの本質である「音色を選ぶ」ことと同じように、お客様が自分の好みに合った色を選べた方が楽しいんじゃないか」と思うようになりました。他部署へのデザインプレゼン時にイメージスケッチと一緒にカラバリの主張をしたところ、2色追加が決定しました。企画の練り直しが発生するタイミングだったにも関わらず、その場での追加色の決断に関係者のこのモデルにかける思いを感じ、デザイナーとして熱くなる瞬間でした。

色はこれまでの電子楽器のような「ステージで映えるビビッドな色味」ではなく、家具の中に溶け込むように「ファニチャーの色調」を取り入れています。例えば赤なら黄みがかった温もりある赤、白なら落ち着きのあるホワイトグレーにするなど生活空間との調和を目指しています。鍵盤根元のフェルト部品もボディカラーに合わせ、拘ってそれぞれ色を変えました。

また商品化にはなりませんでしたが、最初はブルーのカラーバリエーションも検討していました。今後のカラーバリエーションとして、みなさまにもお披露目できることを楽しみにしています。

可視化された音の流れが、
プレイヤーの感性を刺激する

CASIO独自のHorizontal Bass-Reflex System(*1)によって実現した、高音質でありながらコンパクトなボディという
「CT-S1000V」の特徴。

これをデザインで表現するという課題もまた、難関のひとつでした。

そこで着目したのが、パンチングネット部分です。

プレイヤーが調整しながら生み出した音源が、アンプからスピーカーに送られ、音として流れる動きを、造形によって視覚的に再現。

さらに所有欲を刺激するため、パンチングネット越しに配置された大胆なCasiotoneのロゴや、緻密な立体造形にもこだわり、デザインが完成しました。

 

素敵な音があると、なんだかうれしくなる。
そのシンプルな佇まいは自然と部屋に溶け込み
思わず弾きたくなる心地よい音色は、日々の生活に彩りを添えてくれるはず。
そんなライフスタイルをイメージとした
プロモーションデザインにしました。

今後もプロダクトとコミュニケーションの両面から
Casiotoneの世界観を伝えていきたいです。

 

Images created by bird and insect ltd.

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