デザインの裏側にある、知られざる製作ストーリー。
担当デザイナーのリアルな視点から、
開発のコンセプトや流れの中で重ねられた試行錯誤と、
デザインに込められた物語や思いを語ります。
今回紹介するのは G-SHOCK 「GM-110RB」のデザイン開発ストーリー。
「GM-110RB」のCMFデザイン開発にまつわる製作秘話とは。
今回紹介するのは G-SHOCK 「GM-110RB」のデザイン開発ストーリー。
「GM-110RB」のCMFデザイン開発にまつわる製作秘話とは。
10周年に相応しい
GA-110のメタル化
2010年、G-SHOCKで出荷数量世界ナンバーワンを誇るモデル、GA-110が登場しました。部品を緻密に組み上げた複雑でユニークなフェイスと、豊富なカラーバリエーションで、たくさんの方に愛用していただいているGA-110。
登場から10年を経た今、「このGA-110を10周年に相応しい進化で表現したい」という想いから、GM-110RBの開発はスタートしました。
時を同じくして技術革新が起こります。かつては時計の常識として、複雑な造型は難しかったステンレス。
このステンレスを自在に扱える、CASIOの高度なステンレス加工技術が生まれました。
このGA-110への想いと最先端の加工技術を融合し、「GA-110をメタル化すること」が、GM-110RBの開発背景としてありました。
ファンの期待に応える
CMFコンセプトとは?
メタル化は決まったものの、「10周年に相応しい進化」を具体的にどう表現するのか。
今までのGA-110のファンの方々に「10年後のモデルとはまさにこれだ。これこそがG-SHOCKのCMFだ。」と強く思っていただけるモデルを作りたいと思いました。
全く新しいデザイン形状にした方がいいのか。
試行錯誤を繰り返すうちに、膨大なGAシリーズの中から、クレイジーカラーズの初期モデルが浮かびました。
ブルー、レッド、イエロー、ピンク、オレンジ、パープルと、ありとあらゆる原色の組み合わせは、まさにGAシリーズを象徴するCMF。これだ。
GM-110RBのコンセプトは、素材も配色も違うのにGA-110クレイジーカラーズを想起させ、オマージュが伝わるモデルとしよう。そう考えました。
この時点ではまだ、元のデザインがあることの困難さを、全く想像していませんでした。
ユーザーに響く楽器を生み出すためのデザイン課題は二つ。
直感的に操作できるユーザビリティと、新時代の楽器の個性を表現し、所有欲を満たすこと。
この二つの課題の実現を目指し、キーボードの開発と併走して、急ピッチでデザイン開発が始まりました。
CMFデザインの
トライアンドエラー
CMFデザインの
トライアンドエラー
デザインは、GA-110の塗装、印刷、メッキなどの配色や仕上げを進化させながら全体の印象を守ること。そして、10年前の登場に匹敵する「驚き」を感じられること。
この2つをしっかりと表現するデザインにしたいと考えました。
まずはコアとなるベゼルのレインボーIP。ここには、とにかく苦労しました。
ベゼルがプラスチックからメタルに変わると、印象が全く変わってしまいます。IPは、ステンレスのベゼルを窯の中に入れて金属を飛ばして色を付ける技術なのですが、狙った色をつけるのは至難の技です。
窯に入れる時間や角度の調整、遮蔽物を入れるなど、トライアンドエラーを繰り返ました。
その後、技術者の努力と職人技で量産可能に。バンドはハードなイメージにしたかったので、表面に凹凸のテクスチャーを付けました。細かいパターンの角度やエッジのまるめ方を幾度となく検証。
ピッチによって光り方が変わるためギラギラし過ぎないように調整しました。
CMF全体の調和をとる
CMFは、IPのようなコア技術が重要ですが、それを引き立てる全体の調和をとることも重要です。
GA-110の印象を守るために、全ての部品を変更することにしました。
こだわりは時計らしいフェイス。
見切りの目盛りを立体化しその上に印刷、針はメタルベゼルに合ったシンプルなデザインに変更しています。Yの字を横にしたような独特な形の文字板も、立体感を感じるように面の取り方を工夫し進化させました。
さらに文字板は樹脂で複雑な形状を作った上にメッキ処理し、塗装で着色しています。
立体的な輝きと、下のブラス(真鍮)文字板の光り方との組み合わせも見て欲しい部分です。
ケースのサイズも、メタルベゼルはプラスチックより大きく感じてしまうため、5%刻みでサイズを検証し、最終的にはGA-110の95%にしました。
同じモデルでも材質により仕上げを変え、それぞれの個性を前面に出そうと考えるのがG-SHOCKのCMFです。
可視化された音の流れが、
プレイヤーの感性を刺激する
CASIO独自のHorizontal Bass-Reflex System(*1)によって実現した、高音質でありながらコンパクトなボディという
「CT-S1000V」の特徴。
これをデザインで表現するという課題もまた、難関のひとつでした。
そこで着目したのが、パンチングネット部分です。
プレイヤーが調整しながら生み出した音源が、アンプからスピーカーに送られ、音として流れる動きを、造形によって視覚的に再現。
さらに所有欲を刺激するため、パンチングネット越しに配置された大胆なCasiotoneのロゴや、緻密な立体造形にもこだわり、デザインが完成しました。
それにしても、メタルなのにこの形。
そしてメタルに色をつけてしまう所もある意味非常識かも。
オリジナルモデルをオマージュしつつ、
CASIOにしかできないデザインに進化したと思います。
常識に囚われないデザインを生み出すことがCASIOらしさかもしれません。