2024年のグローバルデザインアワードでの受賞作をご紹介します。
Watch Hands, Inside and Out
「時計の針」をモチーフにしたパッケージのコンセプトデザインです。蓋は「長針」、箱は「短針」を表現したデザインで、時計の針であることが分かりやすいように箱の底に傾きをつけて影がしっかり落ちるように設計しています。まるで時を刻むかのように回転して開く様子は、直感的で楽しく、誰もが開けやすいデザインを目指しました。
- デザイナーのコメント
ここ数年、最終選考で落選していましたが、5年目にして世界に認められたという喜びが本当に大きいです。今まではエントリーに向け試し試しデザインしていた部分がありましたが、ポイントがようやくわかってきたのも実感としてあるので、今後も継続的に挑戦していきたいと思います。もっといいものを作っていくことが量産パッケージデザインのアピールになると思っています。
G-SHOCK GPR-H1000
過酷な環境下での使用を想定したG-SHOCKのMASTER OF Gシリーズ「レンジマン」。独自のマッドレジスト構造に加え、高精細、高コントラストで見やすいMIP液晶を採用しました。レンジマンとして初めて心拍計を搭載し、過酷な環境下において、自身の身体状況を把握しながら活動をサポートするG-SHOCKです。
- デザイナーのコメント
過酷な環境下で使用できる最強の機能時計を目標に開発をスタートしています。重要な機能や素材、装着性、操作性など多くの項目について、陸上自衛隊員の方々にアドバイスを伺いながらデザインを進めました。落下や衝突などからモジュールなどの精密デバイスを保護する目的で、大型メタルガードをデザインに採用しています。
また、ボタン操作を暗闇でもグローブを着けた状態でノールックで可能にする為、大型マッドレジストボタンも採用しました。操作動線から必然的な形状を導き出す事でオクタゴンフォルムというスタイリングの特徴を持ったデザインを完成させる事ができました。
- 評価コメント
「真っ当な進化を遂げている」第一印象で感じたのは総合的なバランスの良さだった。G-SHOCKの「らしさ」と「進化」が、素直に体現されているデザイン。見やすい液晶や操作しやすいボタン類は、一見タフでゴツいボディと相反している。軽さやベルトの柔らかさなど、確かにストレスが少ないのである。周辺環境情報に加え、着用者自身の身体状況もしっかりと把握でき、世界中、そしてどんな過酷な環境下でも使えそうな安心感。そしてそれらを無理なくまとめている本体デザインとUI/UXデザインを高く評価した。
BABY-G BGD-10K
BABY-Gは耐衝撃構造と10気圧防水でアクティブな女性に向けたブランドです。2024年ブランド30周年を機に新コンセプトの商品を開発。新世代のティーンエイジャーに向け腕時計からウォッチホルダーへ付け替える楽しみを提供します。ファッションやSNS等ライフスタイルに沿った、今までにない使い方や体験を生む新たな価値の時計です。
- デザイナーのコメント
ユーザーのライフスタイルに沿った使われ方、楽しみ方を提供し「オリジナリティーの表現」をデザインのポイントとしました。ユーザー自身で腕時計状態からウォッチホルダーへ着脱、キーホルダーのように自由にバッグや腰などに装着しスタイルに合わせ楽しむことができます。またウォッチホルダーにシールなどでデコレーションや裏面のクリアカバー内に推しの写真やシートを差し込む等、オリジナリティーを表現するアレンジやカスタマイズ要素を付与しました。アレンジやカスタマイズの主役となるウォッチホルダーは存在感がありつつもシンプルな形状でバッグや腰にぶら下げるなど汎用性をもたせました。
今回グッドデザイン賞を受賞したことは大変光栄に思うと同時に、30年間続いてきたブランドだからこそ、今後も挑戦する姿勢でユーザーライフスタイルに合致した商品開発を行なっていきます。
- 評価コメント
これまで、腕時計はファッションの一部でもあり、自己表現も担ってきた。ただ、時代の流れから機能としての時計はスマホに取って代わられ、それと同時に「自己表現」の座も受け渡した感がある。ベルトの着せ替えでカスタマイズするというものは従来製品にも見られたが、専用のホルダーを用意した点が新しい。なおかつあえて少し大きめなサイズで自分好みにデコレーションできる点は、ユーザーとの深い対話から導き出されている。30年かけて確立されたBABY-Gブランドだからこそ挑戦的な姿勢で提案された本製品を評価した。
Celviano AP-S450
伝統的な価値と革新的な価値との融合により新しいピアノ体験の提供を目指すCelvianoブランドのスリムシリーズ。コンパクトな住環境であってもピアノ演奏を趣味として楽しみたい人に向けた、本格的なピアノ性能と演奏状態をビジュアライズする独自機能を、圧迫感を感じさせないスリムなボディに搭載したスタイリッシュな電子ピアノです。
- デザイナーのコメント
現代のコンパクトな居住空間でも本格的なピアノを演奏する喜びを感じることができるピアノです。アップライトピアノを想起させる存在感を意識しながら、奥行きは最小限に抑える事で既存製品にはない新しいスタイリングとしました。また、今回新たに打鍵強度やテンポなど、演奏に役立つ情報を視覚的に確認可能にするビジュアルインフォメーションバーを正面のパネルに搭載し、デジタルならではの新しい価値を提供できる電子ピアノの実現を目指しました。今後も由緒ある伝統的な価値と、革新的な価値との融合により、新しい音との関わりを体験できる製品を作って行きたいと思います。
- 評価コメント
ピアノ本来のクラシカルな特徴を残しつつ、シックでモダンなデザインに仕上げている。現代の住居サイズに対応しており、どのような環境にも調和する設計である。無駄な部分を削ぎ落としつつも、親しみやすさを感じさせる佇まいに仕上げられている点も高く評価した。
CASIO DESIGN WEB
カシオデザインの魅力を伝えるマガジンスタイルのWebサイトです。デザイン開発ストーリーや、働く仲間の姿を鮮やかに紹介しています。職場を生活の一部と捉え、その魅力を余すことなく伝えるこのメディアは、会社の存在感を高めると同時に、人材採用にも寄与しています。
- デザイナーのコメント
よく見かけるリクルートサイトと比較したときユニークポイントをどこにおくかを、企画の段階で立ち上げメンバーで結構悩みました。業務内容紹介や実績アピールも大事だけど、求職者にカシオで働きたい気持ちになってもらうことを目指し、見ていただく方への共感を最優先にしました。きっとオフィスの風景、職場の雰囲気、一緒に働くこととなる仲間、オフィス周りのお店などにも興味があるはず。自分らの新たな旅をカシオで始めていく上で、ワークライフバランスを考えながら人生を楽しんでほしいというメッセージも込めています。カシオでは初めてコミュニケーションデザイン分野で受賞できたことを非常に嬉しく思っております。
Celviano AP-750
新しい音響システムにより、グランドピアノが鳴り響くような、かつてない自然な臨場感を実現しました。加えて、鍵盤・ペダルの動きやメトロノームなどをパネル状のライトが光ることで視覚的に確認でき、ユーザー自身で演奏の課題や新しい気づきを見つけられる新機能を搭載しています。
- デザイナーのコメント
AP-750は伝統的なピアノの価値と革新的な機能の融合を目指しました。優雅な曲線を基調としたスタイリングや鍵盤の左右と上部の光沢パネルが、演奏者から見てグランドピアノに近い印象を与えるように配慮しています。電源を入れるとその光沢パネルからタッチキーやLEDインディケーターが出現。演奏時は必要最小限の機能に絞って表示させる事も可能です。豊富な機能をピアノの優雅な美しさに基づくスタイリングに馴染ませました。こういった試みがクラシック音楽の本場であるヨーロッパにおいて評価されたことは大変嬉しく思います。これからも新しい音楽体験を通じて多くの方に喜びを感じていただける様に努めてまいります。
G-SHOCK GW-9500
耐衝撃ウオッチ“G-SHOCK”の中でも、土砂やがれきが山積・散乱する過酷な陸上での使用を想定した防塵・防泥構造の“MUDMAN(マッドマン)”シリーズのモデルです。方位表示の視認性を高める二層液晶を備えながらも、薄型化を図ることでプロユースに応える実用性を実現しました。
- デザイナーのコメント
Master of GシリーズMUDMANは12年ぶりに新型としてデビューするため、プロフェッショナルギアとしてさらに機動性を向上させるにはどうしたらよいかを考えました。ポイントは2点、装着性と視認性です。まず装着性の観点からフラットベゼルにすることで薄型化へ貢献、袖への引っ掛かり低減など装着するにあたってのストレスを軽減してます。また視認性においてはフラットベゼルゆえに液晶がワイドに見え、泥汚れがついても拭いやすく、いかなる状況においても見やすい造形を工夫し進化させました。Master of Gはこれからも進化を続けていきます。
G-SHOCK MRG-BF1000
耐衝撃ウオッチ“G-SHOCK”の最上位シリーズ“MR-G(エムアールジー)”として、ダイバーズ仕様“FROGMAN(フロッグマン)”の左右非対称なフォルムをメタルで実現したモデルです。多数のパーツに分解し、それぞれに研磨を施してから組み合わせることで、細部まで美しい質感に仕上げました。
- デザイナーのコメント
1993年の初代「DW-6300」誕生以来、30年もの長きに渡り様々な機能進化を遂げたFROGMANシリーズ。2023年に、FROGMAN 9作目となる本機種、MR-G FROGMAN「MRG-BF1000」が誕生。手首の動きに配慮した左右非対称の機能デザインを継承しつつも、分けられたパーツを丹念に仕上げるとともに、フッ素ラバー製の緩衝材と組み合わせながら、ケース全体を再構築しました。耐衝撃性能と仕上げの美しさを極めることで、FROGMAN史上最も強く最も美しい、30周年を飾るに相応しい進化を遂げました。裏蓋には蒸着サファイアを纏った初代「潜水カエル」が、30年の時を超えて刻印されています。
CASIO CLASSIC A1100
1970年代後半に生まれ、長く愛されてきたデジタルウォッチ「52QS」を、約50年の時を超えて復刻させました。フロントに配置された4つのボタンと、ヘアラインとミラーで美しく磨き分けされた特徴的なケースを当時のデザインそのままに蘇らせながら、カラーバリエーションは現代の価値観に合わせて、CMFデザインを取り入れたラインアップとなっています。
- デザイナーのコメント
CASIO VINTAGEは、50年前から受け継がれるルーツを持つ一方で、新しい市場価値を持った非常に奥深いシリーズだと感じています。復刻にあたり、オリジナルモデルが持つ当時の佇まいは極力残しながら、柔らかに光るゴールドの質感、当時の未来感を表現したビビッドなグリーンなど、現代の多様なライフスタイルにフィットするCMFデザインで味付けをしています。今後もオリジナルデザインへの尊敬を忘れず、幅広い人々の共感を生み愛着を持って使っていただける商品を作り続けたいです。
関数電卓 Classwiz CG
「Approachable」(とっつきやすい)をデザインコンセプトとし、操作仕様やユーザビリティを新しい視点で進化させることで、従来の専門的で難しい機器という関数電卓のイメージから、直感的な操作が可能で見た目にも親しみやすい商品へと刷新しました。
- デザイナーのコメント
関数電卓は欧州では試験に持ち込むことが許可されている国があるほど身近なツールです。その最上位モデルとして、高精細なカラー液晶を採用し、分かりやすいUIと視認性を両立させたデザインに仕上げました。その上で毎日使いたくなる親近感を感じてほしいとの想いから、ケースデザインは手馴染みの良いラウンド形状を採用。ボタンも押しやすい円形状を採用しています。更に白地に赤と青のカラーリングは、実際にフランス現地の教師・生徒にヒアリングを実施し、色ごとの視認性・色への印象聞き取りを経て決定するなど、ユーザー視点での使い勝手に拘りました。本受賞を励みに引き続き、学生の学びと好奇心をサポートしていきます。
新しい音響システムにより、グランドピアノが鳴り響くような、かつてない自然な臨場感を実現しました。加えて、鍵盤・ペダルの動きやメトロノームなどをパネル状のライトが光ることで視覚的に確認でき、ユーザー自身で演奏の課題や新しい気づきを見つけられる新機能を搭載しています。
デザイナーのコメント
AP-750は伝統的なピアノの価値と革新的な機能の融合を目指しました。優雅な曲線を基調としたスタイリングや鍵盤の左右と上部の光沢パネルが、演奏者から見てグランドピアノに近い印象を与えるように配慮しています。電源を入れるとその光沢パネルからタッチキーやLEDインディケーターが出現。演奏時は必要最小限の機能に絞って表示させる事も可能です。豊富な機能をピアノの優雅な美しさに基づくスタイリングに馴染ませました。こういった試みがクラシック音楽の本場であるヨーロッパにおいて評価されたことは大変嬉しく思います。これからも新しい音楽体験を通じて多くの方に喜びを感じていただける様に努めてまいります。
可視化された音の流れが、
プレイヤーの感性を刺激する
CASIO独自のHorizontal Bass-Reflex System(*1)によって実現した、高音質でありながらコンパクトなボディという
「CT-S1000V」の特徴。
これをデザインで表現するという課題もまた、難関のひとつでした。
そこで着目したのが、パンチングネット部分です。
プレイヤーが調整しながら生み出した音源が、アンプからスピーカーに送られ、音として流れる動きを、造形によって視覚的に再現。
さらに所有欲を刺激するため、パンチングネット越しに配置された大胆なCasiotoneのロゴや、緻密な立体造形にもこだわり、デザインが完成しました。