第5回 ステップ・シーケンサーを斬る!~超活用術

今回はステップ・シーケンサーの面白い活用術を伝授いたしましょう!XWのステップ・シーケンサーは前回のプログラミング伝授編でも解説したとおり、16のステップで作られたパターンが延々ループ(繰り返し)します。プリセットとして100、自分のオリジナルとして100の合計200パターンがスタンバイ可能です。さらにそれぞれのパターンは8つのバリエーションがあるので、単純計算で1,600パターン!!! まさに無限ですね。

さらにスゴい超活用法を初級、中級、上級、プロ級別(!)に紹介しましょう。

KEY SHIFT技~初級

単純なパターンのループでもダンス系だと十分に音楽として成り立ちますが、やはりコード進行は欲しいところですね。そこで大重宝するのがパネルの左端にあるKEY SHIFT。

これを点灯させると、左サイドの1オクターブの鍵盤エリアが移調のためのスイッチとなります。すなわちド(C)を押すとCのコードでのパターン。ファ(F)を押すとFのコードでのパターンに瞬時に移調します。

▼KEY SHIFTを駆使した演奏

MIXERでサウンド・メイキング技~中級

お好きなパターンを選んでPLAYボタンを押してみましょう。もちろんそのままでもカッコイイパターンが鳴ると思いますが、さらにガンガンに料理しちゃいましょう。

パターンを鳴らしながら液晶画面すぐ下のMIXER(ミキサー)ボタンを押します。すると下記の画面になります。

ここで、PARTボタンでトラックを選択し、各トラックのTone(音色)やボリューム、パン(定位)、リバーブの量などを変えてみましょう。これはまさにミキシング・エンジニアが曲のバランスを調整しているのと同じ状態です。ガンガンに過激に変えちゃいましょう!最高に面白いでしょう!

▼MIXERを駆使した演奏

ピッチベンドによる過激技~上級

MIXER画面内にBendRangeというパラメーターがあります。ここで鍵盤左横にあるピッチベンド・ホイールで音程を変化させる際の変化幅を調整するのですが、これを24にセットします。24とは0を起点に上下各方向での半音階の幅を数値化したもので2オクターブを意味します。ピッチベンドは上下方向に動くので、なんと上下の幅が合計で4オクターブとなり、それをピッチベンドを上下させることで連続的に変化します。これをパターンをPLAYさせながらPARTを切り替えて動かすことで音色が過激に変化します。特にドラムサウンドでは超効果的です!!DJ気分でガンガンに動かしてみて下さい。

▼BendRangeを駆使した演奏

リアルタイム・レコーディング技~プロ級

ステップ・シーケンサーの打ち込みに関して、前回詳しく説明したとおり、16個のボタン、8つのスライダー(1~8、9~16切り替え)で簡単に打ち込める点を紹介しましたが、なんとこのXW、リアルタイムに鍵盤を弾いた情報もステップ・シーケンサーにレコーディングできます。まさに弾いた音程が入力されますから、演奏に自信のある方はガンガンに利用しましょう。

まず、EDITボタンを押し、Step Editを選択してENTERを押します。するとステップレコーディングのエディット画面になります。

この状態でPLAYボタンを押せば、そのまま弾いた演奏がレコーディングされます。

ガンガンに活用してみて下さい。

▼リアルタイムにレコーディングした演奏

学生時代よりEAST&WESTや 世界歌謡祭など数々のコンテストに出場するかたわら、作編曲、自己のグループ、スタジオミュージシャンなど本格的プロ活動をスタート。音楽コンサルティング、音楽ソフトウエア企画制作、音楽学校運営、作編曲、プロデュース、国内/海外デモンストレーション、研修、後進育成、連載執筆など、その活動は多岐に渡っている。特にデジタル楽器関連の分野では、その軽妙で豊かな経験に基く語り口と独自の視点によるハイクオリティで斬新なプロデュース作品が、常に業界の注目を浴びている。
また、いままで手掛けたTVCM音楽/楽器内蔵デモ曲は数百曲、デモ演奏/研修で訪れた国々は15ヶ国以上に及ぶ。
一般社団法人日本シンセサイザー・プログラマー協会(JSPA)理事