第2回 サウンドの秘密~超こだわりの波形編

今回は、XWのサウンドの要である内蔵波形について詳しく見て行きましょう。
私が初めてXWを試奏した時に、その出音が先進的な外見からは想像できない程にアナログ・シンセサイザー的なニュアンスを感じたのですが、その理由が内蔵波形のラインナップとそのクオリティで納得できました。XW-P1ではシンセ波形311種類、PCM波形2,158種類、XW-G1に至ってはシンセ波形766種類、PCM波形2,046種類もの莫大な数の波形が内蔵されているのですが、何といっても圧巻なのはアナログ・シンセサイザー系の波形たちです。このこだわりの波形リスト群を御覧ください!

 

・MM Triangle ・MM Ramp ・MM Saw ・MM Square
・MM WidPuls ・MM NrwPul

以上、MMとはアメリカの元祖シンセメーカーのコンパクト型モノシンセのことです。私のファーストシンセでもあります。多くのプログレ系キーボーディストが愛用していました。

・MG Sine ・MG Triangle ・MG Saw ・MG Square
・MG Pulse1~2 ・MG Bass1~2

以上、MGもMMと同じメーカーですが、キャビネット型(タンス型)のモデルです。“テクノポリス”で有名な日本を代表するテクノバンドもレコーディングはもちろんライブでも使用していました。

・AP Sine ・AP Square ・AP Triangle ・AP Pulse1~3
・AP SyncSaw ・AP SyncPls

以上、APはMGと並ぶアナログ・モノシンセの代表メーカーで、ジャズ・フュージョン系アーティストの有名曲“カメレオン”のシンセベースや、日本のテクノ系アーティストの有名曲“ライディーン”ではリードやベースで使用されています。

・OB Saw ・OB Pulse1~2 ・OB SyncSaw ・OB SyncPls

以上、OBとはアナログ・ポリフォニックシンセの代表機種で重厚なサウンドが特長です。“JUMP”のあのイントロ・シンセリフが超有名ですね。

・P5 Triangle ・P5 Saw ・P5 Pulse1~4

以上、P5もアナログ・ポリフォニックシンセの代表機種で、当時5音ポリフォニック、40音色メモリーを実現した画期的なシンセでした。日本の有名テクノバンドのキーボーディストのサウンドが最も有名です。またアメリカ西海岸のロックバンドのヒット曲“What a fool believes”では全編で大活躍しています。

※XWのP5Saw波形とProphet-5実機のSaw波形を比較してみました。最初がXWのP5Saw波形です。

・ND Saw ・ND Pulse1~3 ・ND FM1~3

以上、NDとは、比較的新しいスウェーデン製のバーチャルアナログ・シンセサイザーです。赤いボディが鮮烈で有名ですね。FM変調の波形があるのが特徴的です。

 

・JP Saw ・JP Square ・JP Pulse

以上、国産アナログ・ポリフォニックシンセの代表機種です。ヌケの良いブラスサウンドやブライトなストリングスが代表的音色です。“フレンズ”が大ヒットした日本のポップ・グループもライブやステージで使用していたり、アメリカのロックバンドの大ヒット曲“Separate Ways”のイントロでも聞くことができますね。

・CZ Saw ・CZ Square ・CZ Pulse ・CZ DoubleSin ・CZ Saw Pulse
・CZ Saw Reso ・CZ Tri Reso ・CZ Tra Reso ・CZ Wave9~33

以上、ご存知カシオの名器CZの波形が豊富にラインナップされています。特にReso系やWave系の波形はCZならではですね。素晴らしいクオリティです。

・TB Saw1~3 ・TB Pulse1~3 ・TB Bass1~2

以上、TBは国産シンセメーカーのボックス型のベースシンセの波形です。シーケンスフレーズにベストフィットするでしょう。

・SH Saw ・SH Pulse1~3 ・SH Sub OSC ・SH Bass 1~9

以上、SHは国産シンセメーカーのアナログ・モノシンセの代表機種です。リーズナブルな価格ながら、その硬質なサウンドのファンも数多くいます。

 

ここまでが、往年のアナログ・シンセサイザーのオシレーターをサンプリングした波形です。ほぼ考えうる往年のアナログシンセ・サウンドはバッチリ再現できる訳ですね。
その他にも、VASynthというバーチャル・アナログシンセで作り込んだ分厚いサウンドの波形も19種類網羅されています。
さらにノイズに至ってはノイズ・ジェネレーターに以下の波形が網羅されています。

・White Noise ・Pink Noise ・FilterNoise1~8
・Sample&Hold1~2 ・ScratchNoiz1~2

もちろん、PCM波形も莫大な波形が網羅されていますが、特にXW-G1には莫大な数のドラム系波形が追加されているのも特筆すべきポイントです。

学生時代よりEAST&WESTや 世界歌謡祭など数々のコンテストに出場するかたわら、作編曲、自己のグループ、スタジオミュージシャンなど本格的プロ活動をスタート。音楽コンサルティング、音楽ソフトウエア企画制作、音楽学校運営、作編曲、プロデュース、国内/海外デモンストレーション、研修、後進育成、連載執筆など、その活動は多岐に渡っている。特にデジタル楽器関連の分野では、その軽妙で豊かな経験に基く語り口と独自の視点によるハイクオリティで斬新なプロデュース作品が、常に業界の注目を浴びている。
また、いままで手掛けたTVCM音楽/楽器内蔵デモ曲は数百曲、デモ演奏/研修で訪れた国々は15ヶ国以上に及ぶ。
一般社団法人日本シンセサイザー・プログラマー協会(JSPA)理事